動物の『処分』とは何か?

京都府の事例から

メルマガ「動物爆好き!日記」第51号・第52号より
著者:広川夏樹

☆……………U^ェ^U動物の『処分』とは何か?=^*^=……………☆
☆,*;'*;,*;'*,*;'*,★京都府の事例から★;*'*,'*;'*,;*;*;'☆

数年前、京都府が飼い主のある迷い犬を殺そうとした事件がありま
した。経緯は次の通りです。

Aさんの犬が保健所に捕獲されました。Aさんは犬の返還を求めまし
たが、担当職員は「首輪もないし、Aさんの犬だという証拠がない」
「狂犬病予防法により、3日後に殺処分する」と主張しました。

当時の担当課長(B氏)と僕(H)の対話を再現します。

B: 犬がAさんのものだと証明できない以上、返還できない。
  Aさんは善人かもしれないが、中には犬が欲しくてウソをついて
  他人の犬を保健所から騙し取る人もいるだろう。
H: Aさんの犬は高価な品種ではなく雑種だ。Aさんの犬に関して、
  そんな心配はない。
B: Aさんだけに便宜を図ると、行政の公平性が失われる。
H: 行政の公平性を気にしてAさんに犬を返さないほうが問題だ。
  騙し取りが心配というなら、狂犬病予防法に定められた通りに
  告知したうえで返還すれば問題ないだろう。
B: それでもAさんが本当の飼い主でなかった場合には問題だ。
H: では尋ねるが、3日間の告知期間が終われば犬をどうするのか。
B: 処分する。
H: 処分とは、殺処分の意味か?
B: そうだ。
H: 犬を殺したのでは、「Aさんではない本当の飼い主」にとっても
  無意味だ。
B: そんなことはない。飼い主にとっては死んだ犬でも大切だ。

ここで注意してほしいのですが、
>狂犬病予防法により、3日間の告知期間が終われば犬を殺処分する
というB氏の発言は、故意からか無知からか、二重に誤っています。

まず、狂犬病予防法が定めているのは
『犬を処分する前に、最低3日間、告知しなければならない』
ということであり、3日後に処分せよとは一言も書いてありません。

さらに狂犬病予防法の言う「処分」とは、殺処分のことではありま
せん。

捕獲した犬の取り扱いについて、狂犬病予防法は
・狂犬病発生時の措置
・平常時(狂犬病が発生していないとき)の措置
に分けて定めています。

狂犬病が実際に発生した場合、捕獲した犬が狂犬病にかかっている
場合は、獣医師が診断した上で殺処分されます。
狂犬病発生時に関しては、法律の条文に「殺す」「殺処分」という
ことばがはっきりと使われているのです。

しかし平常時に関しては「処分」ということばは使われていますが、
「殺す」「殺処分」ということばは一度も使われていません。

では平常時の「処分」とはどういう意味でしょうか。

狂犬病予防法とは別の法律ですが、「動物の保護及び管理に関する
法律」(旧「動物保護法」)の第7条と第8条に、保健所による動物の
引き取り及び負傷動物の保護が定められており、この第7条と第8条
に関して、総理府から「措置要領」という指示書が出ています。
この「措置要領」によると、動物の処分とは
>飼い主への返還、里親への譲渡、動物実験用の払い下げ、殺処分
です。

つまり、動物の処分は決して殺処分のみのことではありません。
動物保護法の理念からしても、飼い主への返還及び里親への譲渡が
最優先されるべきなのは、言うまでもないことです。

この「措置要領」は旧動物保護法に関するものであり、動物愛護に
関する法律はその後に改正されていますが、今回の改正は動物虐待
の罰則が厳罰化されるなど、動物をより尊重する方向の改正です。
したがって新しい動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)に
おいても、動物の処分とはまず第一に
『飼い主への返還と里親への譲渡』
のことなのです。

狂犬病予防法と動物愛護法は別の法律ですが、法体系の整合性から
言っても、狂犬病予防法の「平常時の措置」に定める犬の「処分」
が殺処分ではないことは言うまでもありません。

問題の犬ですが、新聞社まで動員した結果、無事救うことができま
した。しかし京都府から救出しなければならないなんて、府民とし
て本当に情けないです。
次号では僕と京都府の闘い(?)第二弾を書くつもりです。


☆……………U^ェ^U成犬とねこの譲渡に向けて=^*^=……………☆
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前号(No.51)に書いたように、行政が行なう動物の処分とは決して
殺処分のことではなく、飼い主への返還と里親への譲渡こそが本来
あるべき姿です。そのことは総理府が出している「動物の保護及び
管理に関する法律第7条及び第8条に基づく動物引取りの措置要領」
において、
>動物の処分とは返還、譲渡、動物実験用払い下げ、殺処分である。
と明記されている通りです。

阪神大震災の被災動物を殺処分しないように、兵庫県の役人に掛け
合ったとき、役人は
「措置要領に書かれた処分方法の順番に意味は無い」
と言いましたが、そんなわけはありません。
迷い犬・迷いねこ等は所有者に返還されるべきであり、所有者不明
の動物や所有権を放棄された動物には里親を見つけなければなりま
せん。
動物実験用の払い下げと殺処分はどちらも動物を殺すことなので、
この二つに関してはどっちもどっち、優先度の違いはありませんが、
飼い主への返還が第三者への譲渡や払い下げ・殺処分に優先するの
は言うまでもないことであり、さらに里親への譲渡が払い下げ・殺
処分に優先するのも当然のことです。

話を京都府に戻します。
僕はこれまで何度も京都府庁を訪れ、
・保健所が収容した動物の処分とは殺処分ではないこと
・保健所が収容した動物を里親に譲渡すべきであること
をわからせようと、担当者と話し合いを続けてきました。
しかしあくまでも救おうとする僕とあくまでも殺そうとする役人は
いつまでたってもまともな対話が成立しません。
こんな具合です。(K: 京都府職員 H: ひろぴょん)

H: 現在ごく小さい子犬のみ譲渡しているが、少し成長した子犬や
  成犬はいっさい譲渡せず、すべて殺している。どうしてか。
K: 成長した犬は、かむからだ。
H: 仮にかみ癖があっても、きちんとしつけられる人に譲渡すれば
  良い。それにかまない犬もいるだろう。成長した犬を譲渡でき
  ない理由は無い。
K: とにかく譲渡はしない。すべて殺す。
H: それでは答になっていない。
K: 以前、飼い主から引き取った犬が保健所から逃げて飼い主の家
  に戻ったことがある。そのとき飼い主から苦情があったので、
  引き取った犬は確実に殺すよう心がけている。
H: ねこはなぜ譲渡しないのか。
K: ねこは引っ掻く。
H: 引っ掻かなければ譲渡するのか。子猫は引っ掻かない。
K: …。たしかに引っ掻かない。
H: では譲渡するのか。
K: しない。とにかく引き取った動物は全部殺すことにしている。

こんな具合です。論理も何もあったものではありません。

保健所から飼い主のもとに必死で逃げ帰って、また保健所に送り返
されて殺された犬の気持ちを思うとたまりません。
最低の飼い主です。京都府はどうしてそんな人間の便宜のみを図り、
もの言わぬ動物を殺すのでしょうか。

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